◆旭区内の放射線量-1年後の状況報告
私たち有志が昨年夏に、旭区内の放射線量を独自に測定する活動を行い、このコーナーで次の3回の記事を発表しました。
◆旭区内公園の放射線量を独自に測定しました。 (07/17)
◆旭区内の放射線量独自測定結果/第2回(8/19)
◆旭区内の放射線量独自測定結果ほか/第3回 (11/18)
それから、まる1年。現在、1年が経過してどのような変化が見られるか、なるべく同じ日に同じ場所で同じ人が再度測定する活動をしています。その結果、昨年の数値を上回る例もいくつかは見られましたが、平均すると、全体として10~20%減少していることが確認できました(詳しい数字は割愛しました)。
セシウムの半減期は、よく30年と言われますが、正確には、セシウム137が30.17年、セシウム134が2.06年です。そして、福島原発事故で放出された放射性物質の中心は、ヨウ素とセシウムで、ヨウ素131は、半減期が8.02日で、すでにほとんど残っていません。これに対し、セシウム134と137の比率は、ほぼ同程度という話があります。
これに従うと、仮に10の線量だったものは、1年で8.5(15%減)、2年で7.3(27%減)、3年で6.5(35%減)、4年で5.9(41%減)、5年で5.4(46%減)、6年で5.0(50%減)ということになります。その意味で、全体として10~20%減少しているという結果は、この数値と符合しており、時間の経過により弱まっているものと考えることができます。
しかし、単純に時間が立てば問題が解決するほど、現実は甘くありません。除染をしても、それは放射性物質の場所を移動するに過ぎず、逆に除染をして集めた土などは、放射線量が高くなります。こうしたものは、人工的に行っているので、予測はしやすく、管理もある程度は可能です。しかし、自然現象として濃縮が起こることもあります。
NHKのクローズアップ現代で報じられた都市濃縮、同じくNHKのETV特集「ネットワークでつくる理放射能汚染地図④/海のホットスポットを追う」、「同⑥/川で何がおきているのか」で紹介された汚染などがその例です。その意味では、川沿いや、水が流れ込む低地などは、まだまだ注意が必要だと思います。
さらに、「チェルノブイリ付近の土壌に含まれるセシウムの『環境的半減期』は、180~320年」とする調査・研究結果も出ています。これは、炉を覆っている石棺が老朽化し雨水が流れ込み、放射性物質を周辺の土壌へ拡散している可能性も指摘されていますが、土壌中の細菌のなかにも、セシウムを濃縮する種がいることがわかっているため、その影響とも考えられています。
福島の事故も、メルトダウンを越えてメルトスルーしているため、チェルノブイリと同様な事態になっている可能性もあり、まだまだ、とても安心できる状況ではありません。しかし、時間とともに、人々の「関心の半減期」が早まっているようで、そのことも心配です。また、機会を見て、放射能の問題は、ここでも触れていきたいと思います。