◆旭区内公園の放射線量を独自に測定しました。
3月の福島原発での何回かの爆発により、私たちの神奈川県にも多くの放射性物質が飛散しました。5月には、現地から約300キロ離れた南足柄の足柄茶から、基準値を越えるセシウムが検出され衝撃を受けたことは記憶に新しいと思います。
6月になり、父兄からの要望を受け、横浜市もようやく横浜市内18区の小中学校などの巡回測定を始めました。その結果、校庭の地表1mで、最高では1時間あたり0.17マイクロシーベルトとなった中学校が3校ありました。
そこで、旭区内在住の有志5人で放射能測定器を購入し、旭区内の放射線量の調査を始めました。
まずは、有志による測定結果の前に、横浜市が測定した旭区の学校別数値をご紹介します。
不動丸小学校 0.05~0.08(最低~最高/以下同じ)
中沢小学校 0.07~0.13
若葉台小学校 0.08~0.16
万騎が原中学校 0.07~0.12
※小学校は地上50cm、中学校は地上1mで測定
詳細は、こちらをご覧いただきたいと思いますが、
この数字をどう評価するかは意見の分かれるところです。
ひとつ言えることは、0.12マイクロシーベルト/時以上だと、日本で一般の人が年間に浴びていいとされる人工放射線の許容量である年間1ミリシーベルトを越えていることです。最高値0.17マイクロシーベルト/時だと、×24時間×365日で1.4892ミリシーベルトになるのです。許容量の1.5倍になります。もちろん、これは、その場所に24時間365日居続けたと仮定した場合の数値です。
ちなみに、文部科学省が、年間許容量を年間20ミリシーベルトに設定し、高すぎるとの批判を受け、その後、年間1ミリシーベルト以下を目指すとした計算方法は、学校に1日8時間居て210日通ったと仮定した場合の数値です。これは先の計算方法に従うと、年間5.2ミリシーベルト以下を目指す、と言っているのと等しくなり、実はかなり甘くなります。
細胞分裂の活発な子どもの放射能に対する感受性は、大人よりもはるかに高いものがあります。京大原子炉実験所の小出裕章さんは、「20歳代、30歳代の大人に比べれば、赤ん坊の放射線感受性は4倍も高いし、逆に50歳以上の大人は、1桁も低くなります。」と言っています。その発言の元となったのは右の図(小出さん作成)です。これを見ると、乳児と老人では、10倍どころか100倍以上も平気で違うことがよくわかります。
また、名古屋大学名誉教授の沢田昭二さんは「放射線の影響というものは個人差が大きい。まれに放射線に対する感受性が高い人がいて、こういう人は少ない線量でも影響を受けることがあります。」と言っています。化学物質過敏症や電磁波過敏症の人がいるのと同様に、放射能過敏症の人はいるのです。
結局、この程度の放射能なら心配ないだろうという考え方では、子どもや「過敏症」などの弱者は、切り捨てられていってしまう可能性があります。しかも、放射能は「晩発性」といって、その影響が5年、10年、20年経って初めて表れることもあります。その場合、因果関係を実証することはきわめて困難です。そこで、やはり、微量の放射能も、因果関係が証明できなくても危険性があるのなら、避けられるだけ避ける「予防原則」的考え方を採るのが賢い選択というものでしょう。
そこで、以上の認識をもとに、旭区内在住の有志5人で放射能測定器を購入し、旭区内の放射線量の調査を始めました。いま現在、大気を飛んでいる放射性物質は少なく、基本的には3月の爆発で飛散し土壌などに堆積した放射性物質から出ている放射線を測ることになります。
ただ、福島の事故は終息しておらず、今後とも放射性物質が飛散してくる可能性もあり、浜岡原発や横須賀の原子力空母での事故などがあれば、状況は一変すると思います。そのため、1時間おきにリアルタイムで測定・公表している下記のサイトの数字などは、こまめにチェックしておく必要があると思います。
・環境科学研究所(磯子区/地表23m)
・産業技術総合研究所つくばセンター
購入した機器は、エネルギー補償型のシンチレーション式測定器「ミスターガンマ」A2700で、ガイガー管を使った機器より測定値のブレが小さく、エネルギー補償型というより精度が高いタイプです。
以下が1回目の調査結果の概要です。数値はマイクロシーベルト/時です。
幸い、横浜市が学校を調査した数値より地表1cmの数値でも低い結果となりました。
◆7月11日
神成谷第4公園/今宿2丁目 0.045~0.049
中沢町公園(きのこ公園)/中沢3丁目 0.035~0.045
中沢町第2公園(かば公園)/中沢2丁目 0.050~0.061
今川公園(遊具広場)/今川町 0.057~0.067
※いずれも地表1cmの数値
ちなみに、筆者の旭区中沢の自宅玄関ポスト下の草地は0.105、
カーポート排水口下のコンクリ(少し苔あり)は、0.180を記録しました。
こうしたところには、やはり放射性物質が集まっているようです。
今後、旭区内の各公園を中心に計測し、またこのコーナーでご報告していきます。